先日、現在暮らしている木造の住宅が傾いているので耐震診断をしてほしいとのご相談をいただきました。耐震診断は、震度6強から7に達する程度の大地震が起きた際にその建物が大地震に対してどのくらい耐える力があるのかを示すもので、建物の傾きの原因については分からない可能性が高いとお客様にご説明した上で、ご了承いただいたので耐震診断をさせていただきました。
お客様との耐震診断の事前調査で、建物を購入した不動産業者から「ここは高台だから地盤は問題ありません」と説明を受けたそうです。また、もともとここに住んでいるご近所の住民の方に杭工事をされたのか確認したところ、杭工事はしていないと聞き、自宅も特に杭工事は必要ないと思い、家を建てたそうです。
しかし実際には、建物が傾いてしまう状況になってしまいました。結論から言うと、台地や山の上の土地であると多くの方が地盤に問題はないと思ってしまうと思います。台地や山の上の土地であっても谷底低地と呼ばれる地形があり、粘性土や腐植土で構成されていることから、地盤は非常に軟弱なため建物が傾いてしまったと推測されます。
安心して生活していくためにも、これから土地や家のご購入をご検討されている方は正確な情報を得るためにまずやることとして、国や自治体が公表しているハザードマップを確認することや古地図で過去の地形を確認することから始めてください。また、土地や建物のことでより詳しいことを相談されるときは不動産業者はそこまでの建築の知識を持っている方は少ないので、建築士または、建築の知識のある方にセカンドオピニオンとして相談されることが安心したより良い住まいを手に入れられる第一歩だと思います。